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ワイルド・ソウル [本のこと]

仕事場の人に「ワイルド・ソウル」を借りて読み終わった。ワイルド・ソウル 


一九六一年、衛藤は妻と弟と共にアマゾンへ移民した。しかし、彼らがその土地に着くと目の前に広がるのは農地としては使えない土と密林だけだった。日本政府が言っていた「楽園」はどこにもなかった。
手持ちの財産全てで「楽園」を求めてきた数組の家族達。
ジャングルには当然医者もなく、マラリア、黄熱病、アメーバ赤痢などで命を落としていく。病気の恐怖と共に過酷な気候も開拓者達を襲う。
その四十数年後、3人の男が東京にいた。衛藤の息子ケイ、松尾、山本、彼らの周到な計画で歴史の闇に葬られた過去の扉をこじ開けようとする。
呪われた過去と決別するため、ケイたち3人は日本国政府に宣戦布告。外務省襲撃、元官僚の誘拐劇と計画は進んでいく。



すみません、これを読むまで戦後に移民した日本人はみんな成功して裕福なんだと思ってた・・・[あせあせ(飛び散る汗)]
そんなことを思っていたことが、とてつもなく恥ずかしい[バッド(下向き矢印)][バッド(下向き矢印)]
脱走できないようパスポートまで没収されていたり、外務省の役人たちは視察にも来ない。
こんな国家ぐるみの詐欺に遭い、ジャングルの奥地で死ななくてはならなかった人々が居たなんて・・・

序章は40年前の移民当時のことが衛藤の目線で書かれてます。
正直「こんな状態で話が進むの?」と思うほど、読んでて辛かった。
衛藤は移民した地クロノイテを離れ、サンパウロで死に物狂いで働き成功。クロノイテで待つ野口夫妻を救いに12年振りにクロノイテに辿りつくと待っていたのは野口夫妻の子供・啓一だけだった。
啓一は両親を病気で亡くし言葉も忘れ始め、役人への恨みだけを持ち1人生きていた。
衛藤は啓一を養子として迎え、ブラジル人の妻と3人で暮らす事に。
それから30年後、ケイ(啓一)を中心に復讐劇が始まった。

この計画に関わったのは、ケイ(30代後半?)、コロンビア麻薬組織の幹部・松尾(ケイと同じくらい)、衛藤と金採掘場をしていた事がある初老の山本
ケイと松尾の家族は、衛藤とともにクロノイテに移民、山本は衛藤と金採掘場で一時行動を共にしていた。

ケイ・・・内面的なものは完全にラテン系。両親が病気で亡くなり衛藤に会うまではインディオに育てられてたけど、結局生まれ育った村に戻り1人(5歳くらい?)で生活。奔放で突発的な行動を取るんだけど、なんか憎めない。でも、松尾のイライラも解らなくもない(笑)


松尾・・・ケイと同じ入植地で生まれ育ったけど、幼少期に両親に連れられて脱出。コロンビアに渡る途中で河賊に襲われ両親を失いジャングルを1人(5歳)さまよい歩くうちに麻薬シンジケートのボスに拾われ、完璧な教育を受け幹部候補となる養子の1人として育てられた。日本での密売の元締めとして送り込まれる。表の顔は貴金属店支配人。冷静な常識人。

山本・・・衛藤がクロノイテを脱出したときに出会い、数十年後に再会し衛藤が計画に乗った。彼はケイより早く日本に入国し、復讐劇の準備を始めていた。山本が計画に参加したのは、過去の衛藤へ裏切り(衛藤は裏切られた事知らない)の罪滅ぼしと、現在の援助への恩義のため協力。


他に、テレビ局のアンカーの女性を巻き込み、高速を改造RX-7で爆走したりと、とにかく先が気になって一気読み!
感想は読み始めと、読み終わりでまったく違うものになった!
意外にも読み始めに感じた暗いものは消え、スッキリ爽快なラスト♪


nice!(6)  コメント(7) 
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コメント 7

koume

おぼろげな記憶ですが、国家に騙されたという事で、損害賠償の裁判してる日系人が居るはず…。
この手の話は、たま~にNHKとか、真夜中のドキュメンタリー番組でしてますね。
この本は知らなかったのですが、興味が涌いてきました。
ぜひ読んでみたいですね^^
ご紹介ありがとうございます♪

by koume (2008-07-12 23:30) 

チヨロギ

↑koumeさんがコメントなさっているのは、
おそらくドミニカ訴訟のことではないでしょうか?
棄民政策、ほんとに許せない話です。
ハードボイルド系はすごく苦手なのですが、
たかちさんのレビューですっかり読んだ気になりました。感謝v
by チヨロギ (2008-07-13 01:11) 

Baldhead1010

開拓民は北海道でも悲惨な目に遭いましたね・・・。
by Baldhead1010 (2008-07-13 10:41) 

sasasa

ブラジルとかに、開拓移民として行った人たちには、
こういった人たちもいたという事実は、
見逃してはいけませんね。
by sasasa (2008-07-13 12:28) 

たかち

koumeさん
おいら、その番組をを知らなかったのですが、本を読んでから放送してたことを知りました。
やっぱ、現実を見なきゃダメですよね!
ネタバレになっちゃいますが、ラストはハッピーエンドです♪

チョロギさん
移民として海を渡った彼が、同世代の日本人観光客を見るのは辛かっただろうな・・・
移民だけでなく、中国残留孤児の件もですよね。
国は国民を守るものじゃないんでしょうか??はぁ~~。

Baldhead1010さん
国内だから、言葉が通じるからっていうのは関係ないですもんね!
教科書に載ってない歴史の方が本当に知らなきゃいけないことなのかも。

sasasaさん
本で読んだだけでも結構ショックでした。
でも、知ることが出来てよかったです!おいらに何が出来るかわからないけど、知らないでいた頃より1歩前進!
by たかち (2008-07-13 16:11) 

SAMEDI

たかちさんのあらすじを読んでるだけで、ワタシには読めない類の本だわーと思ってましたが、最後はハッピーエンドなんですね!?
だったら読めるかも(笑)
小説でもドラマでも、辛いだけの話ってダメなんです。
一緒にブルーになってしまうので(^^ゞ
by SAMEDI (2008-07-14 00:58) 

たかち

SAMEDIさん
40年前の回想が終わると現代でケイが好き勝手に動き始め、物語のスピードが変わってきます!
途中で「あんた何しに日本に来たの?目的覚えてる?」って感じです(笑)

さくママさん niceありがとうございます!
by たかち (2008-07-14 22:10) 

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